FXのサインツールやインジケーターの中には、
リアルタイムなチャート上に表示されるサインや指標が、
時間の経過によって「書き換えられてしまうもの」があります。
要するに、
・現在進行形の相場に対して表示されるサインやインジケーターの形状 ・過去の相場を遡って確認できるサインの位置やインジケーターの形状 |
これらが異なるサインツールやインジケーターが存在するという事です。
このようにサインやインジケーターが書き換えられる現象の事を、
『リペイメント(英:repaint)』
というのですが、具体的な現象として、
・リアルタイムな相場で表示されたはずのサインが後々には消えている ・リアルタイムな相場では表示されていなかったサインが後々、表示されている ・リアルタイムな相場でインジケーターが後々、異なる形状になっている |
このような現象が全般的に「リペイメント」に該当します。
このような「リペイメント」が生じるサインツールやインジケーターは、
・過去のチャートを遡る形で確認できるサインや指標がアテにならない ・現在進行形のチャート上に表示されたサインや指標が途中で書き換えられる |
これらを「前提」とした上で、利用していく必要があるため、
それらを用いたトレードのバックテストなどを行う意味が無いに等しく、
そまた「バックテストの結果も無意味(アテにならない)」という事になります。
よって、実際のトレードに実用しているサインツールやインジケーターにおいて、
そこに「リペイメント」があるかどうかは非常に重要なポイントでもあるため、
・どのようなサインツールやインジケーターに「リペイメント」が生じるのか ・どのような理由や要因で「リペイメント」のような現象が生じてしまうのか |
この記事では、これらを詳しく解説していきたいと思います。
FXのサインツール、インジケーターの「リペイメント」について。
FXのサインツールやインジケーターの「リペイメント」は、
・有効性を追及した上で生じてしまっているリペイメント ・有効性を詐称するために意図的に生じさせているリペイメント |
このような2つのリペイメントが存在し、前者の方であれば、
そこを理解した上であれば有効に利用できる可能性は十分にあるものの、
後者は「利用者を陥れる詐欺に近いロジック」と言わざるを得ません。
とくに「情報商材」などで販売されているサインツールやインジケーターなどは、
「過去の相場にはベストなタイミングでエントリーサインが頻発している」
「バックテストでは、ほぼ常勝に近い勝率やパフォーマンスを実現している」
といった「見せかけの有効性」を意図的なリペイメントによって作り出し、
それらを販売ページの方に大々的に公開しているようなものも少なくありません。
もちろん、販売前の時点では「リペイメントの有無」などは、ほぼ言及せず、
いざ購入した時点で「サインが書き換えられる場合がある」という事が明かされる形となり、
・実際の相場では全くもって使い物にならない ・時間が経過するとサインが都合よく書き換えられていく |
このような状況を、まさに「目の当たり」にしていく事になります。
実際のところ「確定していったチャート(レート)の情報」を読み込んで、
都合の良いポイントにサインを書き換えていく「リペイメントロジック」は、
それなりにプログラムをかじっているエンジニアなら容易に作り出せてしまいます。
実際のトレードで、そのようなリペイメントツールの使い道など全くありませんが、
それを情報商材として販売していく上では、この上無く「好都合」なわけです。
ただ、そのサインツールやインジケーターの「ロジック」がオープンになっていれば、
「リペイメントが生じるものかどうか(サインやインジケーターの書き換えの有無)」
という点は、その「ロジック」によって判断する事ができます。
また、実際にリペイメントが生じるようなロジックだった場合においても、
・有効性を追及した上でリペイメントが生じているロジック ・有効性を詐称するためのリペイントを前提としているロジック |
これらの判断も十分に可能なため、販売ページの時点か、または「購入者」に対して、
その「明確なロジック」を公開する形になっているかが1つ重要なの判断基準になります。
販売ページはおろか、購入者に対してもロジックを公開しないようなツールなどは、
まさに「意図的なリペイメントで有効性を詐称している可能性が高い」ということです。
FXのサインツール、インジケーターが「リペイメント」する理由。
では、どのようなロジックのツールやインジケーターにおいて、
そのサインやインジケーターの形状に「リペイメント」が生じるのか。
これは、そのツールにおける「サイン」やインジケーターの「表示条件」などが
相場の進行と共に書き換えられてしまうロジックになっている事に起因します。
具体的に言えば、
・ローソク足の「確定値」ではなく「現在値」を対象にしていくロジック ・常に「現在価格の値」を取得していくロジック ・常に一定条件を満たす「安値」「高値」の値を取得していくロジック |
これらのようなロジックを有するようなものは確実に「リペイメント」が発生します。
有名どころのインジケーターで言えば『移動平均線』などは、
ローソク足の「現在値」を対象に表示されるようになっているため、
『ローソク足の「確定値」ではなく「現在値」を対象にしていくロジック』
『常に「現在価格の値」を取得していくロジック』
この2つに該当します。
例えば「20MA(ローソク足20本の移動平均線)」の場合、
過去19本のローソク足 + 最新のローソク足の現在レート / 20 |
常に、この計算式に基づく値が移動平均線(20MA)の「先端(最新)の値」となるため、
現在レート(最新のローソク足)の変動で移動平均線の現在値も変動するわけです。
つまり、リアルタイムで目にしている移動平均線の「先端部分(現在値)」の形状は、
最新のローソク足が「確定」した時点でリペイントされる場合があるという事です。
ですが「終値が確定したローソク足に対する移動平均線の形状」に関しては、
そのロジック上、常に形状が確定していくためリペイメントする事はありません。
よって、終値が確定しているローソク足の移動平均線(現在値を含まない移動平均線)のみを、
トレードの判断材料にしていくロジックであればバックテストなども「可能」であり、
また、そのようなロジックを前提とするサインツールもリペイメントは生じません。
トレンド系インジケーターの代表格である移動平均線の「リペイメント」については、 以下の記事でも詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。
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これは「移動平均線」に限るものではなく、
・ローソク足の現在値を取得しているのか ※現在価格を対象とするロジックになっているか ・ローソク足の確定値を取得しているのか ※現在価格を対象としないロジックになっているか |
これが「リペイメントの有無」を大きく左右するポイントであり、
ローソク足の現在値を対象とするロジックを有しているツールやインジケーターは、
・ローソク足の終値が確定した「リペイメントが生じない値」のみを実用する ・ローソク足の現在値(現在価格)によってリペイメントが生じる前提で利用する |
このいずれかの視点で利用していく必要があります。
また、3つ目に挙げた
『常に一定条件を満たす「安値」「高値」の値を取得していくロジック』
は、有名どころで言えば「zigzag(ジグザグ)」などが該当します。
この「zigzag(ジグザグ)」のロジックは少々、解説が複雑になるため、 こちらのインジケーターについては、別途、以下の記事を参考にして頂ければと思います。 ↓↓↓
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ただ、ZigZag(ジグザグ)はインジケーターの有効性を追及した上で、
その仕様上、リペイメントが生じているインジケーターの1つと言えますが、
有効性を詐称するために意図的に生じさせているリペイメントの大半は
『常に一定条件を満たす「安値」「高値」の値を取得していくロジック』
に該当する傾向にあります。
よって、有料のサインツールなどを手にした際に、
リペイメントが明らかな「安値」や「高値」のデータを取得し、
そのデータをもとにサインを出していくものは「要注意」という事です。
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以上、こちらの記事では、
・どのようなサインツールやインジケーターに「リペイメント」が生じるのか ・どのような理由や要因で「リペイメント」のような現象が生じてしまうのか |
などをそれぞれ詳しく解説させていただきました。
実際のトレードに実用しているサインツールやインジケーターにおいて、
リペイメントの「有無」は非常に重要なポイントでもあるため、
その利用方法やバックテストの有効性などを判断する際は意識するようにしてください。