FXのサインツールやインジケーターには「リペイメント」という現象があり、
リアルタイムなチャート上に表示されたはずのサインやインジケーターの形状が、
後々になってチャートを確認すると「書き換えられているケース」があります。
 
具体的には、

・表示されていたはずのサインが消えている
・表示されていたはずのサインの位置がズレている
・表示されていたはずのインジケーターの形状が変わっている

このような現象であり、これを「リペイメント」というわけです。
 
そして、このような「リペイメント」が発生するようなツールやインジケーターでは、
過去のチャートを対象とするバックテストなどが実質的に「無意味」となるため、

・リペイメントの認識(リペイメントがあるかどうか)
・リペイメントの対策(リペイメントを防げるかどうか)

これらを踏まえての「テスト」や「実用」を行っていく必要があります。
 
その上で、この記事ではトレンド系インジケーターの代表格であり、
また、多くのトレードツールに利用されている「移動平均線」を対象に、

・移動平均線のリペイメント条件
・移動平均線のリペイメント対策

これらについて解説していきたいと思います。

***

リペイメントが発生する「理由」や「要因」などについては、
以下の記事で詳しく解説していますので併せて参考にしてください。

↓↓↓

FXのサインツール、インジケーターがリペイメントする理由。


 

移動平均線を用いたツールのバックテストとリペイメント対策について

そもそも「リペイメント」が発生するようなインジケーターやサインツールなどは、
そのツールにおける「サイン」やインジケーターにおける「表示条件」などが
相場の進行と共に書き換えられてしまうロジックになっている事に起因しています。
 
具体的に言えば、

・ローソク足の「確定値(終値)」ではなく「現在値」を対象にしていくロジック
・常に「現在価格の値」を取得していくロジック
・常に一定条件を満たす「安値」「高値」の値を取得していくロジック

これらのようなロジックを有するものは、ほぼ間違いなく「リペイメント」が発生します。
 
その上で『移動平均線』を用いるサインツールや自動売買ツール(EA)などにおいては、

『ローソク足の「確定値(終値)」ではなく「現在値」を対象にしていくロジック』
『常に「現在価格の値」を取得していくロジック』

この2つが要因となって「リペイメント」が発生します。
 
例えば「20MA(ローソク足20本の移動平均線)」の場合、

過去19本のローソク足(終値) + 最新のローソク足の現在レート / 20

常に、この計算式に基づく値が移動平均線(20MA)の「先端(最新)の値」となるため、
現在レート(最新のローソク足)の変動で「移動平均線の現在値」も変動します。
 
つまり、リアルタイムで目にしている移動平均線の「先端部分(現在値)」の形状は、
最新のローソク足が「確定」した時点でリペイントされる場合があります。

 
よって、そのような移動平均線を用いているツールなどでは

・リアルタイムに見ていたチャートを対象とするサインやエントリーポイント
 ⇒ 現在レートによる移動平均線を対象としたもの
・過去のチャートを対象とするサインやエントリーポイント
 ⇒ 確定レート(終値)による移動平均線を対象としたもの

これらが異なる形(リペイメントされる形)になるわけです。
 

移動平均線が「現在レート」によるものか「終値レート」によるものか。

対して「終値が確定したローソク足に対する移動平均線の形状」に関しては、
そのロジック上、常に形状が確定していくためリペイメントする事はありません。
 
よって、終値が確定しているローソク足の移動平均線(現在値を含まない移動平均線)のみを、
トレードの判断材料にしていくロジックであればバックテストなども「可能」であり、

「終値を対象とした移動平均線を用いるロジックであればリペイメントは生じない」

という事になります。
 
故に移動平均線を用いたノウハウやツールの「バックテスト」や「実用」には、

・確定したローソク足(終値レート)による移動平均線を対象とするロジックなのか
・現在のローソク足(現在レート)による移動平均線を対象とするロジックなのか

これらをまずはしっかりと把握する必要があり、
上記の違いで「リペイメントの有無」が変わってきます。
 
仮にそのロジックがローソク足の「確定レート(終値)」ではなく、
現在進行形の「現在レート」による移動平均線を対象とするものだった場合は、
バックテストの結果はアテにならない(意味が無い)という事になります。

 
よって、実際にそのようなロジックの「有効性」を検証していくには、

「実際の値動きを対象とするフォワードテスト」

をしっかりと行っていく必要があるわけです。

移動平均線を用いたロジックを作り出す場合のリペイメント対策。

また、これは自分自身がトレードのロジック(トレードルール)や、
サインツール、自動売買ツール(EA)などを自作する場合も同様であり、

・確定したローソク足(終値レート)による移動平均線を対象とするロジックにするのか
・現在のローソク足(現在レート)による移動平均線を対象とするロジックにするのか

この違いで、やはり「リペイメントの有無」が変わってきます。
 
過去のチャートを対象に信憑性のある(意味のある)バックテストをしたいのであれば、
あくまでも「確定レート(終値)」を対象とする移動平均線を用いるべきですが、

「現在レートに対する移動平均線を用いる事でロジックの優位性を向上できる」

というケースも無いわけではありません。
 
例えば、

・「現在レート」を対象とする移動平均線の方向が変わったタイミングを狙いたい
・「現在レート」が移動平均線に接したタイミングを狙いたい

このようなロジックを「確定レート(終値)」をベースにしてしまうと、
値動きによっては狙いたいポイント(レート)を大きくズレてしまう場合があるため、

「そのタイミングをピンポイントで狙う事に大きなアドバンテージがあるロジック」

なのであれば、やはり現在レートをベースとするロジックにするしかありません。
 
ただ、そのようなロジックを前提とした場合には「過去のチャート」を対象に、
いわゆる「バックテスト」で、そのロジックの有効性などを検証する事はできないため、
それこそ、地道な「フォワードテスト」を重ねていくしかないという事です。

以上、移動平均線を用いたロジック、ツールなどのリペイメント対策についてでした。

是非、参考にしてください。

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