多くのトレーダーが利用している「移動平均線」には、幾つかのシグナルがあります。

今回は、その中の1つである「パーフェクトオーダー」について、

「パーフェクトオーダーとはどのようなシグナルなのか」
「なぜ、パーフェクトオーダーのシグナルが有効と言われているのか。」

などを、そのロジックや理論的背景などから詳しく解説していきたいと思います。

ここで解説する「パーフェクトオーダー」の大元となっている「移動平均線」について、
その基本的なロジックなどについては以下の記事を併せて参考にしてください。

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移動平均線の理論とロジック。テクニカル分析の使い方について

パーフェクトオーダーとはどのようなシグナルか。

移動平均線における「パーフェクトオーダー」のシグナルは、
トレーダーによって、その解釈や判断基準が若干、異なるものの、

3本以上の移動平均線が短期、中期、長期の順列で並んだ状況

こちらは例外なく共通しているシグナルの絶対条件となっています。
 
以下のように、期間が異なる3つ以上の移動平均線が上から順に、

 短期 → 中期 → 長期

という順列を作った場合は「上昇トレンド(買い)」のシグナル。

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対して3つの移動平均線が上から順に、

 長期 → 中期 → 短期

という順列を作った場合は「下降トレンド(売り)」のシグナル。

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このように異なるパラメーターを設定した3つの移動平均線が、
設定値の順に「順列」を作った状況がパーフェクトオーダーに該当します。
 
ただ、トレーダーによっては「移動平均線の方向(向き)の一致」も含めて、

・上から短期、中期、長期の順列 + 全ての移動平均線が上向き:上昇トレンド
・上から長期、中期、短期の順列 + 全ての移動平均線が下向き:下降トレンド

といった定義でパーフェクトオーダーを判断しているケースもあります。

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(上から短期、中期、長期の順列 + 全ての移動平均線が上向き)

(上から長期、中期、短期の順列 + 全ての移動平均線が下向き)

 
いずれにしても「パーフェクトオーダー」のシグナル(サイン)は、
相場やトレンドの「反転」の指針となるシグナルが大半の中で、

『トレンドの「発生」や「継続」の指針となる有効なシグナル』

として、多くのトレーダーが意識しているサインと言われています。
 
よって「パーフェクトオーダー」のサインをトレードに実用していく場合には、

・パーフェクトオーダーの発生と共にトレンド方向のポジションを建てる
・パーフェクトオーダーが崩れるまでトレンド方向のポジションを保持する

といった、いわゆる「トレンドフォロー(順張り)」において、
このシグナルを重要な指針にしているトレーダーが多い傾向にあります。
 
また、パーフェクトオーダーの定義が「移動平均線の順列」である以上、
その条件が「満たされるケース」と「満たせなくなるケース」は実質的に、

・ゴールデンクロス(短期の移動平均線が長期の移動平均線を上方向に貫く)
・デッドクロス(短期の移動平均線が長期の移動平均線を下方向に貫く)

これらのシグナル(サイン)に該当する状況となります。

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(ゴールデンクロス → パーフェクトオーダー → デッドクロス)

(デッドクロス → パーフェクトオーダー → ゴールデンクロス)

つまり「パーフェクトオーダー」のシグナルは、

・上向きのパーフェクトオーダー:ゴールデンクロスに始まりデッドクロスに終わる
・下向きのパーフェクトオーダー:デッドクロスに始まるゴールデンクロスに終わる

という事が併せて成り立つサインになっているという事です。

ゴールデンクロス、デッドクロスのシグナルについては、
以下の記事で詳しく解説していますので、併せて参考にしてください。

ゴールデンクロスとデッドクロスがなぜ有効なシグナルなのか

パーフェクトオーダーの「ロジック」について。

その上で「パーフェクトオーダー」のシグナルが、
なぜ、トレンド発生や継続のサインと言われているのかというと、
これはそもそもの「移動平均線のロジック(仕組み)」に起因しています。
 
移動平均線は一定期間の平均レートをグラフ上にした上で、
時間の推移と共にそのグラフが「移動」していく指標のため、

・短期移動平均線の現在の位置(平均レート)
・長期移動平均線の現在の位置(平均レート)

これらの違いはその平均値を算出した対象期間における、
それぞれの「平均値の違い」という事になります。
 
要するに短期、長期、それぞれ移動平均線の位置関係は、

・短期間で行われた売買による平均レート
・長期間で行われた売買による平均レート

これらをそれぞれ表すため

・短期の移動平均線が長期の移動平均線の下にある
 → 短期間(近い期間)で売買した人達の方が安いレートで売買している
・短期の移動平均線が長期の移動平均線の上にある
 → 短期間(近い期間)で売買した人達の方が高いレートで売買している

といった見方をする事ができるわけです。
 
このような考え方から「パーフェクトオーダー」のシグナルが発生している状況は、

・上から「短期」→「中期」→「長期」のパーフェクトオーダー
 ⇒ 短期間(近い期間)の売買ほど高いレートで行われている
・下から「短期」→「中期」→「長期」のパーフェクトオーダー
 ⇒ 短期間(近い期間)の売買ほど安いレートで行われている

相場がこのような状況にある事を示していることになるわけです。
 

短期間(近い期間)で売買している人達のレートが「高値」なのか「安値」なのか。

基本原則として、値動きやトレンドの予測は「近い期間のレートの推移」に重きを置きます。
 
そしてこれは「平均レートの推移(移動平均線)」を捉える場合も同じであり、

・短期間の平均レート(短期移動平均線の推移)
・長期間の平均レート(長期移動平均線の推移)

であれば、やはり短期間の平均レートの推移が現在の値動き、
および現在のトレンドの予測において「重要度が高い指針」となります。
 
よって、パーフェクトオーダーのシグナルが発生しているような相場は、

・短期間の移動平均線が序列を作って上に位置している
 → 短期間(近い期間)になるほど「買い」が強くなっている ⇒ 上昇トレンド
・短期間の移動平均線が序列を作って下に位置している
 → 短期間(近い期間)になるほど「売り」が強くなっている ⇒ 下降トレンド

このような状況を意味するため、パーフェクトオーダーは、
まさにトレンドの発生と継続の指針になると言われているわけです。
 
とは言え、このシグナルは特定の時間足のチャート上における特定の移動平均線のみが、
その時々のタイミングで、その「条件」を満たしていくものでしかありません。

 
そもそも「移動平均線」というインジケーター(テクニカル指標)は、

・どの時間足チャートに移動平均線を表示させるのか
・どのようなパラメーター(平均の対象となる期間)を設定するのか

といった違いで全く異なる形状の移動平均線が表示される事になるため、
トレーダーごとにチャート上に表示されている移動平均線は大きく異なります。
 
その上で、この「パーフェクトオーダー」のシグナルに限らず、
移動平均線を用いたシグナルは全般的に、どの時間足チャートにおける、
どのパラメーターの移動平均線によるサインが有効という決まりはとくにありません。
 
チャート上にパーフェクトオーダーなどのシグナルが現れる
実際のタイミングなどはトレーダーごとに大きく異なるという事です。

 
よって、当然の事ながら、それらのシグナル全てが有効となるはずもなく、
例えば、以下のチャート画像では「パーフェクトオーダー」が発生している最中で、

「レートが大きく高値、または安値を付けている状況」

がお分かり頂けるはずです。

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(上昇トレンドを示すパーフェクトオーダー中の高値レート)

(下降トレンドを示すパーフェクトオーダー中の安値レート)

一般的に「パーフェクトオーダー」はトレンドの継続サインとも言われていますが、
その最中で、パーフェクトオーダーに沿ったポジションを建てたとしても、

・レートが一時的に上がり切った高値で買いポジションを建ててしまうケース
・レートが一時的に下がり切った安値で売りポジションを建ててしまうケース

などが、現実的に「ありえる」という事です。
 

パーフェクトオーダーに沿ったトレンドフォローは「タイミング」次第。

突き詰めて「タイミング次第」と言ってしまえば全てがそうなのですが、
パーフェクトオーダーに沿った「トレンドフォロー(順張り)」はとくに、
そのタイミング次第で大きく「明暗(勝ち負け)」が分かれる形になります。
 
ただ、一般的にはゴールデンクロス、またはデッドクロスのサインも重なる点で、
パーフェクトオーダーのシグナル確定のタイミングの初動でフォローする事ができれば、
大きなトレンドにポジションを乗せられる可能性を高められると言われています。
 
また、同じ移動平均線を用いた「グランビルの法則」で相場の反転を見極める事や、
他の平均指標でトレンドフォローが危険なポイントを見極める事も不可能ではありません。

 
つまり、パーフェクトオーダーのようなシグナルはそれのみを指針とするのではなく、
他のシグナルや他の指標と併せた上で実用していく必要があるという事です。

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尚、実際のトレードに「移動平均線」を利用していくトレーダーは、

・移動平均線同士の推移、交差状況に重きを置くトレーダー
・移動平均線と現在レートの推移、交差状況に重きを置くトレーダー

この2つの方向性に分かれる傾向にあり、ここで解説させて頂いた、
パーフェクトオーダーは「前者に該当するシグナル」となっています。
 
上記の2つの方向性についてはどちらも一長一短があるのですが、

「移動平均線そのものがパラメーター次第で異なる形状になる」

という実情を踏まえると、移動平均線同士の推移や交差に重きを置くより、

・全てのトレーダーが実質的に同じ推移を目にしている現在レート
・その現在レートと移動平均線の推移や交差状況

私はこれらに重きを置く方に合理性があると考えています。
 
そのため、移動平均線を用いたトレードをメインにしているわけではありませんが、
移動平均線と現在レートの推移、交差状況に重きを置いているのが率直なところです。

移動平均線と現在レートの推移や交差状況によるシグナルとしては、

「グランビルの法則」

などが有名どころになると思いますが「グランビルの法則」については、
別途、以下のような記事がありますので、併せて参考にしてください。

グランビルの法則と移動平均線の関係。その理由と理論的背景

以上、ここではパーフェクトオーダーのシグナルについて、
そのロジックや背景的な理論を踏まえた有効性などを解説させて頂きました。
 
その他、移動平均線についての講義が幾つかありますので、
こちらも併せて、是非、参考にしてください。

移動平均線の理論とロジック。テクニカル分析の使い方について

移動平均線の有効なパラメーター設定と組み合わせについて

加重移動平均線(WMA)と指数移動平均線(EMA)の違いと特徴。

テクニカル分析については、他にも多くの記事を公開していますので、
是非、他のブログ記事の方も併せて参考にして頂ければと思います。

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